クロスプラットフォーム開発はダメか?と問われれば、自分もやっぱりダメっすねと答える。「急がば回れ」だ。 | EvernoteのMac App Store公開で得た4つの教訓 - Tech Crunch Japan

EvernoteのMac App Store公開で得た4つの教訓 - Tech Crunch Japan

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1. 実力主義はいいことだ
・・・ソフトウェア産業には強固な独占体制が出来上がり、参入障壁は巨大なものとなった・・・実は、圧倒的に重要なのはモバイルではなく、アプリストアだったのだ・・・ひとたびアプリストアが機能し始めると、ソフトウェア市場は実力主義が支配するようになる
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2. デスクトップ・ソフトウェアの復活
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よく出来たアプリストアが、サードパーティーのデベロッパーにとっていかに決定的に重要か
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3. マルチプラットフォームのユーザーがベストなユーザーだ
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多くのデバイスでEvernoteを使うユーザーはそれだけ愛着も深くなり、有料化の可能性も高くなるはずだ。Mac App Store効果は逆方向にも働く。ストアでEvernoteを初めて知った新しいユーザーの多くはモバイル版のEvernoteクライアントをダウンロードしている。
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4. クロスプラットフォーム開発の神話
・・・もしEvernoteのデスクトップ版がAdobe AIR上で書かれていたら、私は今頃こうして喜んではいられなかっただろう。・・・ソフトウェア企業のCEOとして、私はこれが事実でなければいいのにと思う。一つのバージョンだけ作って、それが全てのプラットフォームで作動するならどんなに良いことか。・・・その理由はネーティブアプリの方が高い品質を実現できるからだ。・・・もし単一のクロスプラットフォームによる開発戦略をとれば、おそらく開発コストを70%節約できるはずだ。しかし同時に80%のユーザーを失うに違いない。・・・
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金融危機以来の暗い経済ニュースの陰に隠れて、ソフトウェア・ビジネスに参入するのに現在ほど恵まれた環境が揃ったことはないという事実が見失われがちだ。・・・


MacのAppStoreの最重要点「ちょっとしたユーザーの手間を省くこと」

MacのAppStoreは年明けから試しているけれど、やはりあの手軽さは相当な革新だと思う。

EvernoteはそのAppStoreですでに相当な成功を収めたらしい。すばらしい。筆者のPhil氏は主に開発者の視点からだけれど、ユーザーの視点からAppStoreで特に重要なポイントを考えると

1.有料ソフトも即ダウンロード(ライセンス管理等)
2.解凍・展開の手間が無い
3.一切ユーザーの手を煩わせることなく自動的にインストールされる

ということだろうと思った。

ソフトウェアそのものもサービスだけれど、このようなユーザーのちょっとした手間を省くこともひとつのサービスなのであり、ソフトウェアの利用を促進する起爆剤なのだと思った。

これは結局、開発者としても喜ばしいことだ。もちろん、Appleとしても。Win-Win-WinのトリプルWINだ。



ソフトウェア市場に実力主義の世界到来か?

Phil氏はAppStoreの登場はソフトウェア市場をより実力主義の世界にするとおっしゃっているが、自分はその意見には懐疑的だ。

確かに、誰もがソフトウェアを売ることができるチャンスを与えてくれたという意味では実力次第で誰もがスタート地点に立てるようになったことは間違いない。しかし、アプリの数が増えてくれば、やはり結局マーケティング次第になるのではないだろうか。

そうならないためには、今後益々アプリのキュレーション、アプリのキュレーターが重要になってくるだろうと思った。

アプリ検索サイトやアプリレビューサイトではなく、良いと思うアプリだけをそのキュレーターの全責任で取り上げるサイト。そして、そういったキュレーターをジャンルごとにたくさん集める、そんなサイトだ。そういったサイトや仕組みが出来上がった時、ソフトウェア市場は真に実力主義の世界になるのではないかと思う。



デスクトップ・ソフトウェアは復活するか?

世の中の興味や実際の売上がパソコンよりもスマートフォンやタブレット機に向かっていることを考えると、デスクトップ・ソフトウェア市場は基本的には縮小していくと考えられる。

しかし、AppStoreが出現したことで市場規模が縮小しても効率が高まって、結局拡大に向かう可能性が出てきたと思う。復活、するかも。



クロスプラットフォーム開発はやはりダメか?

Phil氏は名指しでAIRを挙げている(^^);

クロスプラットフォーム開発はダメか?と問われれば、自分もやっぱりダメっすねと答える。自分もFlash/Flex/AIRを使って開発しているにも関わらずだ。その理由は全てPhil氏がおっしゃっている。

Javaは昔からこの問題を抱えてきたが、AndroidではJavaがネイティブ言語であることで少々状況が違う。ただそれでも、デスクトップのJavaアプリがそのまま動くということではない。

エンコーダー・デコーダーなどのようなUIと直接結びつかない部分のクロスプラットフォーム開発は十分有効だけれど、これは一般にクロスプラットフォーム開発という言葉が意味していることではないだろう。

この件はまさに「急がば回れ」だ。



とにかく「ソフトウェア・ビジネスに参入するのに現在ほど恵まれた環境が揃ったことはない」というのはまったくその通りだと思う。AppStoreの出現は、ソフトウェア・ビジネス新時代の到来を意味している。

ここからがまさに、ソフトウェア開発者の腕の見せどころとなるだろう。がんばろう!

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