祈りの造形美 アジアの装身具 松本和佳

NIKKEI MAGAZINE 10.02.21
・・・タイに住むアカ続の女性たちは眠るときも農作業をするときも、この頭飾りをはずさないとも言われている。「頭に自分の魂が宿っていると」と固く信じているからだ。・・・タイのヤオ族には、独特な男児用の帽子・・・赤い毛糸のポンポン飾り。これが意味するのは鶏のとさかだ。悪霊は昼が大嫌い。ならば朝を告げる鶏に子供を擬すれば、悪霊も怖がって近づかないはずだ。・・・「アジアの多くの人々は、ジュエリーは身を飾ると同時に、心も飾ると考える」・・・日本宝飾クラフト学院の理事長・・・露木宏さん・・・「縁起のいい吉祥文様で幸運を呼び、色や形状によって悪霊の侵入を防ぐ営為」・・・邪気を払うモチーフとして、古くからアジアで使われてきたのが渦巻や三角形・・・エネルギーや生命の律動・・・幸運しるし・・・中国語の「福」と音が似ているコウモリ・・・子孫繁栄の象徴でもあるブドウ、リスなど・・・土着の「信仰」は流行に無縁・・・アジアでほぼ共通する特長がひとつある。ほとんどが体の中心線、あるいは左右対称にある場所を飾る、という点・・・民族によっては、背中は無防備で守るべき場所・・・最も普遍的な素材は銀・・・朱色の華やかなカーネリアンという石をはめ込む。人々は赤い色に、けがや出血を防ぎ、視力をよくする不思議な力を見ていたためだ。・・・アジアで多く好まれる色が青。特に西アジアなどでは邪視を払う色・・・邪視とは悪意をもつ他人のまなざしのこと・・・アジアで多く見られるお守り装身具。ただ、日本にはあまり実例がない。・・・どうやらお守り装身具は、定住型の農耕民族よりも、遊牧民や山岳民族に浸透しやすいのではないか、と露木さんは推測・・・文化女子大学名誉教授の道明三保子さん・・・「人間の根本的な価値観がちりばめられている。だからこそ、その美しさは人の心を打つ」と、道明さんは感じている・・・

装身具には本当に様々な要素が含まれているようだ。

特に面白いと思ったのは、毛糸のポンポン飾りの話だ。悪霊は昼が嫌い>鶏は昼の象徴>子供を鶏に偽装>悪霊が寄り付かない、という思考の流れが実に微笑ましい。シャレだったのかもしれないと一瞬思ったが、いや、きっとマジだったに違いない(^^);

道明教授のお言葉もよく覚えておこう。人間の根本的な価値観が込められているものにこそ人は感動するのだ。

渦巻・三角形:邪気を払う、生命力、エネルギー
コウモリ:幸運の印
ブドウ、リス:子孫繁栄
赤:けがや出血を防ぎ、視力回復
青:邪視を払う(悪意をもつ他人の目)

・体の中心線と左右対称の場所を飾る
・銀は普遍的な素材
・お守り装身具は農耕民族より遊牧民や山岳民族に多い

追記:
その後、松本和佳さんの別の記事を日経で見ることになった。どうやら松本和佳さんと自分の琴線は似ているらしい。
琴線探査: 人形は人間ではない?なら人間とは何なのか? | 自分を映す人形の世界 - 日経

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